中学受験の長文問題はほんとに長い
難関中学校の国語の入試問題には、超長文ともいえる文章が出題されます。国語が難しいことで知られる桜蔭中学では、全ての問題の文章量を合わせると8000字にもなると言われています。
小学生が1分間に読める文字は、平均で500字程度と言われていますので、普通に読むと16分かかります。試験時間は50分ですから、その三分の一を読む時間に取られてしまいます。
これがもっと速く読める人はどうでしょう。読書速度が平均の3倍の1500字になると約5分で読み終わり、10分以上の時間が節約できます。これだけ速く文章が読めると、入試ではとても有利になりますね。
「速読」という方法を聞いたことがありますか。
文字通り、文章を速く読む方法のことですが、きちんと練習した人では、1分間に数千字から、速ければ数万字の速度で読める人もいるそうです。
一方で、「速いだけで理解できていないのでは」とか「どこかを読み飛ばすから速く読めるんでしょう」という批判的な反応も根強いです。
しかし速読は、ただ闇雲に速く文章を見るものではありません。理解力と集中力を上げることで、結果的に読書スピードが上がる読書法です。
速読は特別な技術のようにも思えますが、実はいくつかのポイントを意識するだけで、今日からでも格段に読むスピードを上げることができるんです。
音読をやめる
まずはお子さんの読書速度を測ってみましょう。やり方は簡単です。
塾の宿題や市販のドリルから、お子さんに読んでもらう文章を選びます。普段読み慣れている形式の文章がやりやすいでしょう。あらかじめ、その文章が、一行に何文字並んでいるかを数えておき、それに行数をかけて、総文字数を計算しておきます。(概算で構いません)
それからお子さんに文章を読んでもらい、読み終わるまでの時間を測ります。
先に計算した文字数を、読むのにかかった時間(分)で割れば、1分間あたりの読書速度が出ます。
お子さんの結果はいかがだったでしょうか。
小学生の平均速度は500字程度、大人でも600〜700字程度と言われています。
しかし、このくらいのスピードで読んでいる時、頭の中では、実際には声に出していなくても、「音読」をしていると言われています。
「音読」といえば、小学校から毎日宿題が出ているご家庭も多いことでしょう。音読は文章を読み飛ばさずに理解するには効果的ですが、一方で読むスピードは落ちます。この音読の習慣が体に染み付いてしまうと、読書スピードも500字程度に留まってしまうと言われています。つまり、日本人の大半は、頭の中で音読をしているのです。
けれど、人間はわざわざ音読しなくても、ちゃんと文章を理解する力があります。以前話題になったこんな研究をご存知の方もいるでしょう。
「こんちには」
この文字列を見て、ほとんどの人は一瞬で、こんにちは、と理解できるそうです。
人間の脳には「文字の最初と最後さえ合っていれば、単語を正しく認識できる」という力があるからです。
つまり、人間の脳は単語をかたまりで捉えているのです。こ→ん→に→ち→は、と一文字ずつ順に見ているわけではありません。この、「単語をかたまりでとらえること」が速読の基本です。ですから、先ほどの単語を見て、「こんにちは」の意味であると認識できた人は、既に速読ができているというわけです。
音読は、こうやって一瞬で理解できることを、わざわざ何倍もの時間をかけて処理するようなものです。そう考えると、音読が時間の無駄であるということがわかると思います。
文章を早く読むためには、まず頭の中で音読をしないように意識して、文章をぱっぱっと見て理解するように心がけましょう。読書の速い子は自然にやっていることなのですが、頭の中での音読を止めるだけで、1分間に1000字程度は読めるようになると言われています。
速いスピードに慣れる
1分間に1000文字なんてスピードでは速すぎて、理解がついていかないかも、という心配があるかもしれませんが、実は結果は全く逆になります。
音読をやめると、頭の中での無駄な作業がなくなり、集中力はアップします。
集中している状態では、一瞬で多くの情報を処理できるため、周りの時間がゆっくり流れるように感じます。古いですが、元巨人軍の川上哲治の、
「ボールが止まって見えた」
というやつですね。
ですから、本当は速く読めているというのは集中して文章を読めている証拠なのです。「今自分は読み飛ばしているのではないか」という不安を持たずに、このスピードで読むことに慣れて、きちんと理解できるのを実感するのが大事です。
特にお母様や周りの人に、速読なんて信じられない、速く読む=読み飛ばしでしょ、という認識があると、お子さんも速く読むことを悪い読み方のように感じることがあります。だから周りの人が「人間は本来速く読めるのだ」という認識を持つことも大切です。
さて、集中した状態を作りやすくするためには、お子さんの興味のある文章を自由に読ませることも効果的です。読書が苦手なお子さんでも、ゲームの攻略本なら凄いスピードで目的の情報を読み取れるかもしれません。そんな経験を通して、集中して読むってこういうことなんだ、という実感を持つことが、速読につながります。
大まかに内容を想像してから読む
大人でもそうですが、何が書いてあるかわからない文章より、その文章の言いたいことを知っている方が読みやすいものです。ですから文章を読む前に、なんとなくイメージができていると、興味を持って読むことができます。
ちょっとしたテクニックになりますが、目次のついている文章は、目次を見て何が書かれているか想像するのが効果的です。長文読解問題では、全文を読む前に、各段落の始め1行ずつだけを読んで、ストーリーの流れを大まかに想像することも効果があります。
ただし、この作業の目的は、文章を興味を持って読めるようにすることであって、短い単語をつなぎ合わせて文章全体を理解したつもりになることではありません。
読んでいくうちに、自分の予想とは違った内容だったと気付くこともあるでしょう。先入観を持ちすぎず、予想を裏切られることを楽しむくらいのつもりで読むとよいでしょう。
このように色々な方法を書いてみましたが、一番大切なのは、「人間はもっと速く読めるのだと実感すること」です。今日これからでも、文章を読む機会があれば、是非これらのポイントを意識してみて下さい。
さらに速いスピードで読むために
さて、速読が誰にでもできる方法だと実感でき、もっと速く読めるようになりたいと感じた時には、速読の通信講座もあります。
速読といえば、ビジネスマン用の講座が多いのですが、こちらのヒューマンアカデミー通信講座『たのまな』では、小学生のお子さんから速読トレーニングができるファミリー版の講座があります。
わずか3か月間、1日に15分間のパソコンでのレッスンで、1分間に5000字の速さでの速読を身につけるトレーニングになっています。
レッスン内容は主に二種類に分かれており、速読特有の目の動かし方のレッスンと、高速での読解力を高めるためのレッスンがあります。
読解力を高めるレッスンでは、数字探しゲームのような遊び感覚でできるものから、画面いっぱいに浮かび上がったたくさんの単語を見て、瞬時に単語の意味を認識するトレーニングなど、多くのレッスンが含まれています。トレーニングといっても身構えてやるのではなく、できるだけリラックスして画面全体を眺めることで、言葉が向こうから飛び込んでくる、という感覚を身につけることを目的としています。
また、より実践的な読解練習としては、日本の名作を使った文章の速読練習もあります。
練習の題材になる文章は、小学生向けでは新見南吉や宮沢賢治など、受験にもよく出題されて、内容を知っておくだけでも役に立つ文章が、数多く収録されています。
さてこのファミリー版は、小学生から大人までの幅広い年齢に対応していて、また一度に4人分の学習管理ができますので、ご家族みんなで速読レッスンをすることが可能です。仕事で書類をたくさん読まなければいけないお父様にも、忙しくて読書の時間がなかなかとれないお母様にも、きっと役に立つことでしょう。
家族で取り組むメリットは他にもあります。
それは家族みんなが「速く読む」という実感を共有することです。
繰り返しになりますが、速読は、周りの人が「誰でもできる技術だ」と認識することが大事です。だからご両親もお子さんと一緒にトレーニングして、自分の脳の処理能力が上がるのを実感することが効果的です。この講座の目標文字数は1分間に5000字となっていますが、1500字を超えたあたりからは、脳の使い方が変わったと実感できるはずです。
そのような脳の使い方ができれば、日々の勉強や仕事も、本質をとらえてスマートにこなすことができ、今より何倍も充実した日々を送ることができるでしょう。
もちろんお子さんにとっては、国語の読解問題が素早く正確に解けるようになるだけでなく、算数や他の科目でも、設問の内容を的確に理解することができるようになり、全ての科目の成績の底上げが期待できます。
読書のスピードアップだけでなく、たくさんの副産物が得られる速読トレーニング。家族みんなでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。