2017年中学受験の4大大手塾合格実績比較。合格者数を伸ばしたのはこの塾。

2017年度の首都圏中学受験も終了し、主な塾の合格実績がほぼ出揃いました。
最終報まで、まだ今後も多少の増減はあるかと思いますが、現時点での、首都圏大手4進学塾(サピックス、四谷大塚、早稲田アカデミー、日能研)の合格実績の傾向を見てみましょう。

首都圏難関校に見る合格実績の推移

どの塾も多くの塾生を抱え、たくさんの学校に合格者を輩出していますので、合格実績も色々な偏差値帯にわたる膨大なデータがあります。しかしここではポイントを絞るために、多くの塾が主戦場として力を入れている難関中学校から、開成中、筑波大附属駒場中、桜蔭中の3校の合格実績に絞って実績を見てみたいと思います。

開成中学校(合格者数(人)、カッコ内は昨年度実績)
サピックス    234 (251)
四谷大塚     110 (92)
早稲田アカデミー  95 (87)
日能研       59 (56)

筑波大付属駒場中学校
サピックス     88 (86)
四谷大塚      30 (22)
早稲田アカデミー  28 (26)
日能研       11 (16)

桜蔭学園中学校
サピックス     184 (163)
四谷大塚      52 (53)
早稲田アカデミー  54 (50)
日能研       28 (36)

(※青字は昨年より増加、赤字は昨年より減少)

まずこの4進学塾の中で、実績が第一位となったサピックスでは、桜蔭で増加、筑駒で微増、開成では減少となっています。特に桜蔭では合格者数を20名以上増やすなど、引き続き好調な結果が見て取れます。

一方、堅調な合格実績の中で、開成中の合格者数はやや減っています。これについては、今年のサピックス在籍者数自体が5%ほど減ったからとか、同日の駒場東邦や別の学校に志願者が流れたから、いや単に去年の合格者数が多すぎた反動だ、など、いくつかの理由が指摘されています。どれも一定の根拠があり、今年の合格者の減少が、すぐにサピックス人気の陰りである、と断言することはできません。

事実、全体で見れば、サピックスが他塾に倍以上の差をつけて合格者を出していることに変わりはなく、今年もサピックスの一人勝ちという言葉がふさわしい結果になりました。



実績を伸ばす四谷大塚と早稲田アカデミー

現状維持のサピックスに比べて、今年実績を伸ばしたといえるのが四谷大塚と早稲田アカデミーです。

四谷大塚は、過去3年の開成合格者数が、82→92→110と、増加している傾向にあります。
早稲田アカデミーでも、開成合格者数が60→87→94となり、合格者を伸ばしていることがわかります。
ご存知の通り、早稲田アカデミーは四谷大塚の提携塾ですし、テキストもほぼ共通のものを使っていますから、この2塾の合格実績には重複があります。このため、それぞれの塾単体での合格実績は不明確ではあるのですが、昨年度実績との比較に限っても、どちらも実績を伸ばしているという傾向は読み取れるかと思います。

この好調の要因は、難関校対策へのシフトが良い影響を与えたからではないかと考えられます。というのも、四谷大塚では、難関校対策を重点的に行うために、予習シリーズの改訂を行いました。特に算数では、授業の進度を今までより早く、より高度にしました。早稲田アカデミーでも、難関校対策用のNNクラスや、難関校専門の新ブランドであるSPICAを立ち上げるなど、難関校対策に特化した授業を増やしてきました。これらの対策の効果が現れてきているといえるでしょう。

これらの塾とは対照的に、日能研は、難関校に限っていえば、少し実績を落としてきています。
日能研は、一時期の独占状態の反動からか、難関校対策から中堅校向けにその主軸が移ってきているという印象を持たれています。このような印象のせいで、難関校志望者の家庭からも敬遠されることとなり、その結果、本当に実績を落とすという負のスパイラルに入っているという、残念な印象も受けます。

一方で日能研内部では、難関校対策として、2年前から、TMクラスという選抜クラスを立ち上げています。生徒数を絞っているため、合格者の総数としてはあまり多くはありませんが、TMクラス内に限っていえば難関校にも一定の合格者を出しているといえるでしょう。
日能研全体の生徒層が広い範囲に分布しているので、合格者の割合としては少なめに見えますが、TMクラスの中ではきちんとした実績を出していると考えても良いのではないでしょうか。



塾の実績=我が子が合格できる塾?

ここまで見たように、今年も、サピックスが合格者数で他塾の倍以上の実績を上げている傾向は、大きく変化しませんでした。来年以降も、この合格実績に惹かれて優秀者層が集まってくるでしょうから、塾としてはしばらくは一人勝ち状態が続くことが予想できます。

しかし、塾業界の専門家ではなく一保護者として考えるならば、一番気になるのは、我が子を合格させてくれる塾がどこかということではないでしょうか。塾の合格実績は塾のものであり、たったひとりの我が子がその合格実績に入るかどうかを一緒にして考えるわけにはいきません。実績の良い塾には優秀な子がたくさん集まってくるから、さらに実績が良くなる、という側面は大きく、誰が入ってもその合格実績を享受できると考えることはできません。

これまでに見てきたように、どの塾からでも、その塾のカリキュラムに従って勉強した結果、難関志望校に合格したお子さんが、何十人もいることがわかると思います。ですから、「この塾でないとこの学校には受からない」と選択肢を狭める必要はないでしょう。

長い期間通塾するのですから、自宅からの遠さや通いやすさ、他の習い事との時間の都合、塾の雰囲気や先生との相性など、他にも重視したい点がたくさんあります。塾の合格実績だけで、遠い塾を選ばなくてもよいという傾向になりつつあるのは、望ましいことだと思います。



また、我が子を大事にしてもらえるかというのも大事な観点です。
もちろんどの塾でも、全ての生徒の成績を上げるために親身になって努力してくれはしますが、その塾でトップクラスの子の指導に力が入るという面は否定できません。

例えば、他の塾に行けばトップクラスになれるのに、今の塾にはもっと成績の良い生徒が多いために、埋もれてしまってその他大勢扱い、と感じるお子さんもいます。そんな、本当は優秀なのに、放っておかれていると感じるお子さんは、もしかしたら別の塾に行けば非常に大事にしてもらえるかもしれません。

お子さんのモチベーションも大事です。塾に言われたとおりに勉強して、自分なりに成績も上がりつつあるのに、塾に行くと上には果てしなくライバルがいて、絶対にトップになれない、という環境では、勉強していて虚しくなってしまいます。
「中学受験の勉強を通じて、どんなに努力しても一番にはなれないことを学んだ」
というのでは、悲しすぎないでしょうか。逆に、自分がトップ層に近くて、あと少し努力すればトップになれる、という環境では、モチベーションも上がります。そうして前向きに勉強する方が、結果としては成績がアップするかもしれません。そして成績以上に、お子さんに「やればできる」という成功体験を持たせることは、これからの人生にとって、受験の結果そのものよりもずっと大切なことでもあります。



既に塾通いをしているお子さんは、今の塾に通うことで、ライバルと切磋琢磨し、向上心を持って勉強に臨むことができているでしょうか。そうであれば、今の順位に一喜一憂することなくその塾を続けることをお勧めします。逆に、お子さんが今の成績に閉塞感や無力感を感じていたり、親から見て我が子と塾のレベルが合っていないのではないかと感じたら、他の塾の様子を調べてみるのも良いかもしれません。

色々な塾の雰囲気を知るのに一番手軽で効果的な方法は、気になる塾の公開テストなどを受けてみることです。問題傾向や成績の分析結果など、塾によって微妙に違うこともありますから、新しい塾で成績を分析してもらうことは、今の塾を続けていくとしても良い情報収集になるでしょう。

また、その中で、お子さんに合った学習プランなどのアドバイスを受けることができるかもしれません。特に、多少の弱点分野はあるけれど、それが克服できれば十分難関校を狙えるというお子さんであれば、弱点克服のための個別指導など、親身になって、お子さんのための提案を受けられるかもしれません。今すぐに転塾に至らなくても、今の塾と併用できるような学習プランを提案してくれる塾もあるでしょう。お子さんの負担を重くしすぎない範囲で、色々な塾の情報を賢く併用することも効果的かもしれません。

塾に通うにあたっては、今通っている塾を信頼することは大切ですが、一方で冷静に今の塾を分析して、その塾で補えないところを別の塾と賢く併用することのバランス感覚も大切です。大規模な塾の華々しい合格実績に振り回されすぎることなく、お子さんに本当に合った塾を選ぶことが、中学受験の成功につながることでしょう。

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