2018年中学受験の4大大手塾合格者実績比較。今年の難関校合格者のトレンドは?

2018年度の首都圏中学受験も終了し、主な塾の合格実績がほぼ出揃いました。
最終報まで、まだ今後も多少の増減はあるかと思いますが、現時点での、首都圏の四大大手進学塾(サピックス、四谷大塚、早稲田アカデミー、日能研)の合格実績の傾向をまとめました。

首都圏難関校に見る合格実績の推移

今年も、多くの塾が主戦場として力を入れている難関中学校に絞って傾向を見るために、開成中、筑波大附属駒場中、桜蔭中の3校の合格実績を見てみたいと思います。

開成中学校(合格者数(人)、カッコ内は昨年度、一昨年度実績)
サピックス    262(←234←251)
四谷大塚     103 (←110←92)
早稲田アカデミー  93(←95←87)
日能研       42 (←59←56)

筑波大付属駒場中学校
サピックス     85(←88←86)
四谷大塚      32(←30←22)
早稲田アカデミー  32 (←28←26)
日能研       12(←11←16)

桜蔭学園中学校
サピックス     163 (←184←163)
四谷大塚      60 (←52←53)
早稲田アカデミー  63 (←54←50)
日能研       32 (←28←36)
(※青字は昨年より増加、赤字は昨年より減少)

実績第一位のサピックスは、今年も変わらず堅調な結果でした。
昨年度から比べると、開成で28人増、桜蔭で21人減と、大きく変動しているようにも見えますが、一昨年の結果も合わせて比較してみると、ほぼ同じ水準になっています。
3校全てにおいて、合格者の半数以上をサピックスが占めるという「一人勝ち状態」は、大きな傾向で見れば、今年も変わらず続いていると言えるでしょう。

四谷大塚と早稲田アカデミーの実績増は今年も続く

安定傾向のサピックスに対して、四谷大塚と早稲田アカデミーは、ここ3年間で見ると、少しずつ難関校合格者数を伸ばしてきていると言えそうです。
桜蔭合格者数と筑駒合格者数では、3年間毎年増加しており、また昨年大きく増えた開成合格者数については、今年もほぼ同じ水準をキープしています。

ご存知の通り、早稲田アカデミーは四谷大塚の提携塾であって、テキストも共通のものが含まれているため、この2塾の合格実績には重複があると発表されています。そのため、それぞれの塾単体での合格実績は不明確ではあるのですが、昨年度までの実績との比較に限っても、どちらも実績を伸ばしているという傾向は読み取れるかと思います。

この二つの塾では、数年前から、難関校向け対策の充実をうたっています。基本テキストである「予習シリーズ」は、進度をより早く、より高度に改訂しました。早稲田アカデミーでも、難関校対策用のNNクラスや、難関校専門の新ブランドであるSPICAを立ち上げるなど、難関校対策に特化した授業を増やしてきました。これらの対策の効果が少しずつ現れてきていると言えそうです。

一方で、日能研では、少しずつですが、難関校合格者実績が減少傾向にあると言えるでしょう。

日能研といえば、一時期の独占状態の反動からか、難関校対策から中堅校向けにその主軸が移ってきていると感じるご家庭も多いようです。そのイメージのせいで難関校志望者から敬遠された結果、本当に実績が落ちるという、負のスパイラルに入っている印象も受けます。

けれども日能研でも、難関校対策として、3年前から、TMクラスという選抜クラスを立ち上げています。生徒数を選抜したクラスのため、合格者の総数としてはあまり多くはありませんが、TMクラス内に限っていえば難関校にも一定の合格者を出しているといえるでしょう。
日能研全体の生徒層が広い範囲に分布しているので、合格者の割合としては少なめに見えますが、TMクラスに在籍しているお子さんは、きちんとした実績を出していると考えても良いのではないでしょうか。



小規模塾における合格者実績

ここまでにみた四大大手塾だけでも、既に3校とも、学校側の公表する合格者数を超える実績が出ていますが、さらにこれ以外にも、比較的小規模な塾からも、上記3校への合格実績は多く発表されているので、以下に挙げてみます。

グノーブル 開成12 筑駒5 桜蔭6
エルカミノ 開成10 筑駒6 桜蔭1
希学園   開成7 筑駒5 桜蔭2
ジーニアス 開成3 筑駒4 桜蔭2

これらの小規模塾では、大手塾に比べると圧倒的に在籍人数が少ない中、高い割合で合格者を輩出しているといえるでしょう。

ところで、ここまでに挙げた合格者数を足してみると、
開成であれば、公表された合格者数388名に対して、532名の実績が発表されています。
また、筑駒でも、合格者数128名に対して、181名の合格実績が上がっています。

系列校である四谷大塚と早稲田アカデミーの合格者数が、仮に全て重複していたとしても(これは極端な仮定ですが)、開成で51名、筑駒で21名は、二カ所以上の塾からダブルカウントされている計算になります。

合格者としてカウントされているのは、その塾の授業を継続的に受けた生徒だけで、模試だけを受けた外部生は除かれているとされています。ということは、これらの学校の合格者のうち、15%程度のお子さんは、2つ以上の塾を併用していたということになります。

難関校受験生のお子さんは、合格に万全を期すためとはいえ、直前期はかなりのハードスケジュールをこなしていたお子さんが多いということが読み取れそうです。



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塾の掛け持ちって必要なの?

この合格者の重複については、塾同士の競争という観点で見れば、優秀者層に対する、塾同士の奪い合いが激しくなっているとも言い換えることができます。

多くの塾では、志望校別の模試を実施しています。そして、その成績が良かったお子さんに対しては、志望校別の特別講座を用意しているところもあります。ですから、実力のあるお子さんには、あちこちの塾から勧誘が来ることでしょう。ただでさえ不安な受験直前期ですし、実際に周りのお子さんが塾を併用していたりすると、塾の掛け持ちを検討するご家庭もあるかもしれません。

塾の掛け持ち自体は悪いことではありません。けれども、子供の負担が大きくなりすぎたり、また、保護者が「あれもこれも勉強しないと」と不安になるようであれば、あまりお勧めできません。

今年の合格実績から見ても、どの塾からでも、その塾のカリキュラムに従って勉強して、難関志望校に合格したお子さんが、何十人もいることが読み取れると思います。ですから、「あの塾にも通わなければ志望校に合格できない」と悲観する必要はありませんし、それが子供に伝わるのであれば、子供にとっても良い影響はありません。

勉強内容だけではない塾の役割

子供にとって、塾から受ける恩恵は、授業内容だけではありません。特に、小学校6年生の子供にとって大事なのは、そこで切磋琢磨できるライバルの存在です。

まだ12歳の子供にとっては、3年近くに及ぶ、長くて厳しい受験勉強は、大変な試練です。受験しないお子さんが遊んでいるのを横目に、週に何日も塾に通い、好きな習い事も諦めて、夜遅くまで勉強する必要もあるかもしれません。たとえどんなに強く夢を持っていたとしても、たった一人で勉強していては頑張り続けることなどできません。時には、もう辛いからやめたいと弱気になるのも当然です。

そんな時、最後に頑張れる力になるのは、周りのライバルの姿です。同じクラスの友達も、あんなに頑張っているのだから、という姿を見ることが、子供にとっては大きな力になります。

ですから、特に直前期には、できるだけ同じメンバーのクラスメイトと、切磋琢磨できる環境を選ぶことが大切です。難関校向けの志望校別特訓は、1~2カ所の校舎に集められて開催される塾が多いですから、そのような環境に身を置けるのであれば、塾全体の合格者総数はそれほど気にしなくても良いのではないかと思います。



逆に、小規模な校舎で、周りのお子さんと大きく学力差がある場合などは、転塾や別の塾との併用を検討するのも良いと思います。自分と近い成績のライバルがいる環境に変わると、刺激を受けてやる気が湧いてくることもあるかもしれません。

転塾を考える場合は、その塾の公開テストなどを受けてみるのが良いでしょう。最終的に今の塾を続けていくのだとしても、新しい塾から新しい観点で分析をしてもらうことは、お子さんにとっても自分の成績を客観的にとらえる良い機会になるでしょう。

小学6年生にもなると、母親が勉強しなさいと言っても素直に聞ける年齢ではありません。塾に期待する最も大事なことは、お子さんが自発的に、勉強しようと思えるような環境作りです。どの塾を選ぶにしても、家族全員がその塾を信頼し、そこで勉強するお子さんを信じて支えてあげることが、中学受験の成功につながることでしょう。

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