算数先取りでは右に出るものなし。公文式を中学受験に活かすには、いつまで?どこまで?やればよい?

賛否両論ある算数先取り学習の王道

算数には、新しい学習法がたくさん出ていますが、その中で、長年にわたって人気の習い事であり続けているのが、公文式です。
公文式が生まれたのは昭和30年代だそうですが、最近でも、2014年に東京大学新聞社が行った「東大生が子供の頃にやっていた学習法」調査で一位に選ばれるなど、半世紀以上にわたって、成績の良いお子さん達からも根強い支持を受けています。


なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?(祥伝社新書)

このように、公文式といえば、
「成績の良い子は公文をやっていた子が多い」
という肯定的な意見もある一方で、
「公文をやっていた子は、応用問題が解けなくてその後全然伸びなかった」
といった否定的な意見もよく聞かれます。

賛否両論あるのは、通っている生徒数が多いことや、また、進学目的や補習目的など、色々な目的で通うお子さんがいるせいもありますが、それでは、中学受験をするという前提にたってみれば、公文はどのくらい役に立つのでしょうか。

新しい塾や学習法が次々に生まれている現在でも、公文は、有効な算数の学習法であり続けているのでしょうか。



公文のゴールを知っていますか?

ところで、公文式って、何を目指して作られた教育メソッドか、知っていますか?

小学校の勉強で落ちこぼれないようになることでしょうか?
それとも、中学受験問題を解けるようになること?

どちらも、違います。

公文式のホームページには、こう書いてあります。

「公文式の算数・数学教材の到達目標は「高校数学」。高校の数学でつまずき、希望する進路や将来の夢をあきらめてしまうことのないように…という願いからです。」

くもんホームページより)

知っていましたか?公文式って、高校数学を理解することが最終目標なのです。
巷では「小学校の授業で困らないように」という補習的な動機で通わせている親御さんも多いのですが、本来の公文式は、とても野心的なメソッドだといえるでしょう。

高校数学といえば、微積分、三角関数、複素解析など、高度な抽象概念を学ぶ学問です。そんな高校数学を、幼稚園児や小学生に教えるのですから、学校と同じ方法では到底無理で、大胆な戦略が必要です。そのために、公文式では、応用問題をばっさりと切り捨てて、純粋な数の操作の練習に特化しているのです。

ですから、公文式に通っても、中学受験の難問が解けるようにはなりません。習字の教室に通っても、記述力がついたりしないのと同じことです。
このズレを意識せずに公文式に通わせるから、「公文に通わせたのに、思ったような学力が付かなかった」という不満につながるのではないかと思います。



それでも小学校の勉強との共通点は多い

そうはいっても、高校数学も小学校の算数も、同じ数学であることに変わりはありませんから、計算の仕方は共通です。そして高校数学を目指す公文式にとっては、小学校の四則演算レベルを身につけさせることなんて朝飯前です。ですから、小学校の成績を上げるという目的で公文式に通ったとしても、十分に有効な結果が得られるでしょう。

公文式の学習システムである、自分の解けるところから始めて少しずつステップアップする学習法や、努力した分だけ先取りできて、どんどん褒めてもらえるというシステムは、認知発達理論から見ても優れたメソッドだといえます。

また、幼稚園児くらいの子供にとっては、計算の練習は、思考力を鍛える手段として、ちょうど良い題材だと思います。

「くもんは考える力を使わない」とは良く言われますが、それでも、例えば繰り上がりのある計算ができるようになるには、10進法の概念を理解しなければいけません。分数の足し算をするためには、倍数や約数という概念も必要です。幼児にとって、このような数のルールを理解することは、大事な思考力の訓練になりますし、それをきちんと守って解けば、答えはいつも同じになるという算数の本質を理解することは、その先の勉強にとっても大事な基礎になります。

一方で、大人にとっては当たり前の概念である、「犬が5匹」も「りんごが5個」も同じ5という数であるという抽象化は、幼児には簡単ではありません。だから公文式では、この部分は問いません。あらかじめ数字という抽象化された概念にして出題してあげることで、幼児だって容易に数の操作の練習ができる、というのが公文式の革新的なところです。

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公文式と中学受験とはアプローチが違う

しかし、中学受験に必要な思考力を鍛えるという意味では、「すでに抽象化された数字の操作」ばかりやっていては対応できません。ですから、どこかの時点で、「与えられた問題から、抽象化した数式を見つけ出す」という練習に移行する必要があると思います。

この抽象化の能力は、早い子であれば、小学校低学年くらいから育ってくるように思います。中学受験を目指すのであれば、それくらいの年齢からは、思考力を鍛える学習法に移行するべきです。いつまでたっても幼稚園の時と同じように、数字を与えられてただ計算するだけの公文式を続けていると、「計算は得意だけど応用問題は解けない」という、よく批判されるような公文っ子が育ってしまうでしょう。


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このようなことを考えると、公文式との付き合い方は、時期をよく見極めて上手に使うべきでだと思います。

公文の始め時は、早ければ早いに越したことはありません。近所に受け入れてくれる教室があればいつでも良いと思います。
本当に大事なのは、始め時よりも止め時です。止め時はどのお子さんでも同じで、遅くとも小学校3年生の終わりになって、中学受験用の進学塾のカリキュラムが始まる頃には卒業しましょう。

中学受験をするなら、塾のカリキュラムに乗るのは大事なことだからです。習い事やクラブなど、他にやりたいことがあって通塾しないのは仕方ありませんが、公文式は塾のカリキュラムより優先すべきものでもありません。

公文式卒業までにやっておくべき範囲は?

小3で卒業というタイムラインを意識すると、どれだけの進度で進めば良いのかが気になるところです。中学過程や高校課程に進んだ方が良いのかも、よく議論されていますが、これも、止め時との関係が重要です。

中学過程は、方程式や正負の数などの概念が出てきますが、これらの考え方は、中学受験でも当然のように使われます。ですから、中学過程に進めるのなら進んでおくのが良いでしょう。

一方、高校課程については、複素関数や行列式など、ほとんどの分野は、まず中学受験で問われることはありません。だから一般的には高校課程には進まずに卒業する人が多いのですが、有名校のお子さんの受験体験談などでは、小3のうちに高校課程まで修了したという話もよく聞かれます。高校数学の複雑な問題を解くためには、膨大な理論を理解して、公式を覚えて、複雑な手続きに従って数式を操作しなければなりません。そういった操作を正確にやりきるだけの思考力と粘り強さがあれば、中学受験で多少複雑な問題が出ても、苦にならずに解くことができるのでしょう。

ですから、これらの過程を小3までに終えられるなら、どんどん進むのが良いと思います。けれど繰り返しになりますが、小4に入るようであれば、無理せずに卒業する方が良いでしょう。



自宅で公文式の勉強はできる?

このように、小3で卒業することを考えると、公文式のメソッドが有効なのは、幼稚園児~小学校低学年までの数年間だといえます。そう聞くと、公文式に通わせずに自宅でも教えられるのでは、と考えるかもしれません。

公文式のメソッドの良いところは、勉強の習慣をつけるとか、自信をつけるといった点です。これは公文式が多くの人に支持されている大きな理由でもありますが、公文式でなければできないということもありません。

教材さえ用意できれば、自宅で公文式を真似て家庭学習するのも、それほど難しいことではありません。くもんドリルとして、公文式からも問題集が販売されていますし、他にもたくさん市販の計算ドリルが販売されています。


3年生のかけ算 (くもんの小学ドリル 算数 計算 7)

カラフルなものや、お子さんの好きなキャラクターが書いてあるものでも良いでしょう。また、最近は無料プリントが充実しているので、それを利用するのも良いと思います。この時期に一番大切なのは、教材よりも、親の接し方です。

「毎日決まった時間に机に向かわせる」
「自分の力で解かせる」
「最後には100点にしてうんとほめる」

の原則を守れば、家庭学習でも十分できるでしょう。費用もぐっと抑えられますし、くもんの教室への送り迎えや移動時間の節約にもなります。

公文式は良くできた教育メソッドだと思いますが、公文式にこだわりすぎずに、無理なく毎日の勉強の習慣をつけること、勉強に苦手意識をなくして、その先の勉強に対して前向きな姿勢を作ってあげることが、この時期の家庭学習においては、一番大事なことだと言えるでしょう。

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