中学受験向け算数問題集の最高峰。「中学への算数」の賢い使い方

市販の問題集で最高の難易度

算数が得意で、算数オリンピックに挑戦したい。塾のテキストよりもっと進んだものを解きたい。
そう考えるお子さんにおすすめなのが、市販の中学受験向け算数問題集で最も難しいといえる、東京出版の「中学への算数」シリーズです。

主に東京大学を目指す大学受験生向けの数学雑誌である「大学への数学」。その発行元である東京出版が、難関中学受験生向けに出している参考書シリーズです。
このシリーズの中核となるのは、月刊の雑誌である「中学への算数」です。それ以外に増刊号として、月刊誌の内容を抜粋した、単元ごとの問題集が刊行されています。



月刊誌「中学への算数」の使い方

月刊誌では、整数問題、図形問題、など、毎月決まったテーマを一つ選んでそれを掘り下げる演習をします。
毎日1問ずつ問題を解く形式の「日々の演習」と、それを踏まえた応用問題である「テーマ別演習」、さらに中学受験を超えた難易度の問題に対して論述形式で解答する「宿題」、そして最後に添削問題である「学力コンテスト」がついています。
月刊誌を買う目的は、多くの人にとって、この「学力コンテスト」の応募のためと言ってもよいでしょう。

この学力コンテスト、通称「学コン」は、中学受験の最難関校レベルの問題が毎月4問出題されます。
解答者はその中から解答したい問題数に応じてコースを選んで、問題を解いて郵送します。すると1か月ほどで添削して返却され、その成績優秀者が、次々回の本誌内で氏名掲載されるのです。

学コンの難易度は非常に高く、ぱっと見ただけでは解けない問題が並んでいます。ですから、問題を見てすぐに、「解けない~」と諦めるのではなく、とことんまで考えてみましょう。発売日から提出締め切りまでは、約20日ほどありますから、好きなだけ時間をかけて問題に取り組めます。
購入した直後に問題を見て、それから20日間、時間ができるたびにその問題を考えて考え続けて、ある時にふと解き方がひらめく。そのようにして、解けないと思っていた問題が解けた快感を味わうのが、学コンの正しい使い方です。
そうやって難問に取り組むことを続けていれば、算数の問題を解く体力は着実についてきます。また一つの物事を考え抜く経験は、中学受験だけでなく、その先の大学受験でも、きっと役にたつでしょう。

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大手塾で積極的に勧めない理由は「難しすぎるから」

そんなハイレベルな問題集である「中学への算数」ですが、大手進学塾では、算数が得意な子に対しても、あまり積極的に解くようには勧めていないようです。

その最大の理由は、時間を取られすぎるからです。
じっくり考える経験は、難問揃いの中学受験に立ち向かうためには有益なことです。とはいえ、ほとんどの子にとっては、それだけの難問に取り組む時間があれば、他の科目の勉強をした方が得点に繋がるのも事実です。

ですから、月刊誌「中学への算数」を解きたければ、算数が好きで、かつ得意なお子さんが、”5年生の間の”腕試しにやるのが最も有効活用できるのではないかと思います。

もちろん入試問題レベルの問題ですから、5年生が解くには難易度が高いでしょう。しかし、「中学の算数」は、そういう突出した子だけが取り組む方が良い問題集です。
5年生のうちに解くのが難しいと感じるようなお子さんであれば、6年生になってからも、塾のカリキュラムを完璧にこなすことを優先した方が良いでしょう。6年生の塾のカリキュラムには、「中学への算数」と同レベルの問題も出てきますから、6年生になってから「中学への算数」に手を出すのは、やや効果も薄れます。今からそれだけの時間をかけるくらいなら、別の科目に注力した方が良いのは、塾の言う通りです。

最難関中学を目指す子供達が集まる塾でさえも、「ここまでは解かなくていい」と言われるほどの難関問題集。算数に自信があれば挑戦してみたくなる気持ちはわかりますが、使い方には注意が必要です。本当に算数が好きで得意な子だけが使うのが、失敗のない使い方です。

増刊号は長期休みなどの先取りにお勧め

そのような、やや取扱注意な問題集「中学への算数」ですが、月刊誌以外の、増刊号と呼ばれる問題集は、どれもよくまとまって使いやすいです。

増刊号として現在出版されているもののうち基本となるのが、入試問題の全範囲をカバーした三冊の問題集です。難易度の低い順から、
・ステップアップ問題集
・プラスワン問題集
・合格へのチャレンジ演習
となっています。これらも前述の月刊誌と同様に、小5までの間に、先取りとして使うのが賢い使い方です。


ステップアップ演習 (中学への算数)

最も簡単な「ステップアップ問題集」は、小4程度からチャレンジできるとされています。低学年の間に、最レベ・トップクラス問題集などで家庭学習をしてきたお子さんにとっては、その次の問題集としてもちょうど良いでしょう。

また、弱点単元がある場合は、特にそれらを長期休みなどにまとめて対策すると良いでしょう。
図形分野の苦手克服には「図形の必勝手筋」、計算分野の苦手克服に「計算名人免許皆伝」など、多くのお子さんにとって苦手になりやすい分野に対して、分野別問題集が数多く出版されています。
これらを終えた後、小5のうちに、中学入試の頻出問題を集めた「必ず解きたい算数の100問」まで解くことができれば、小6でかなり余裕を持って算数の学習を進めることができるでしょう。

さて、東京出版の問題集は、もともとが大学受験生向けの出版社だったせいか、どの本も非常に飾り気のない見た目になっています。とにかく余白が少なく、淡々と文章が詰め込まれていますので、お子さんには読みづらいかもしれません。

そこで、ちょっと手間はかかるのですが、紙面をコピーして、1問ずつ切ってノートに貼ってあげることをお勧めします。
後で見直しをする際にも簡単になりますし、格段に解きやすくなるでしょう。
そっけない見た目ですが、効果は間違いありません。手間をかけても解く価値のある問題集といえるでしょう。

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